クリーニングに関する情報研究委員会
委員長 牛田 智(武庫川女子大学・教授)
衣服のトラブルは絶えることがありません.そのトラブルはクリーニングにおいて顕在化することもよくあります.その際,作る側,売る側,着る側,洗う側の利害が交錯します.クリーニングで事故が起こった場合,その四者のうちのいずれかに100%原因があるということは希です.それぞれの立場で,別の立場のことがわかっていないということもしばしばです.「トラブル」「事故」となった場合は,良識,常識だけが通用するとは限りません.驚くような「非常識」が露呈することも少なくありません.今回のセミナーでは,そのような交錯するクリーニングトラブルの実状,トラブルが生じる背景,生じた後の対応について,本音で斬り込んでみました.
過去のセミナーについては、クリーニングに関する情報研究委員会のページへ
[協 賛] 繊維製品技術研究会(ATTS)、(社)日本衣料管理協会(TES会)、日本繊維技術士センター(JTCC)
[日 時] 2009年2月24日(火) 10:20〜17:00 <終了しました>
[場 所] 扇町インキュベ−ションプラザ会議室
530-0052 大阪市北区南扇町6-28水道局扇町庁舎http://www.mebic.com/access/
[内 容]
テーマ:衣服のトラブルと事故品の扱い−交錯するその常識・非常識
10:20 開会挨拶
10:30〜11:40
1.講演「クリーニングトラブルの背景−この業界の実状−」
・・・・・・・・ (株)マグネット 原田 誠
クリーニングトラブルが生じる原因は様々ですが,その背景にはファッション性を重視するアパレル・消費者の意識,クリーニングの技術限界などや,これらに関する情報が行き渡ってないことなどがあると思われます.クリーニング業界が抱える問題点やその実状を語っていただきました.
12:40〜13:40
2.講演「クリーニング事故賠償基準の内容とその運用」
・・・・・・全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(全ク連) 小野 雅啓
クリーニング事故賠償基準による規定では、クリーニング業者が事故の原因を他のものの過失であることを証明した場合のほかは、被害者に対して補償することを定めています.その場合,購入金額の全額が賠償されるのではなく,使用年数や使用状況を加味した額となります.この賠償基準は、学識者、弁護士、消費者団体等によるクリーニング賠償問題協議会により定められています.組合非加盟業者もこの基準を目安にしています.この賠償基準と,賠償基準の適用のされ方の実状や問題点などを,クリーニング業法などの法律面との関連も含めお話しいただきました.
13:40〜14:40
3.講演「売る立場,使う立場からクリーニングトラブルを考える」)
・・・・・・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 西日本支部広報委員長 相戸ミドリ
ファッション性の高い衣類について,売る側は消費者にどう対処しているのか,メーカー側に対してどのような要望を抱いているのか,消費者は,衣服は洗わなくてはならないことをどう考えているのか,消費生活アドバイザーで,百貨店でのお客様相談にも関わっておられる相戸氏に御講演いただきました.
15:00〜15:40
4.問題提起「委員が語るクリーニングトラブルで見られる『常識』『非常識』」
クリーニングトラブルに関わる「常識」「非常識」の事例を,本学会のクリーニングに関する情報研究員により紹介し,衣類そのものの問題,それに関わる人の問題,衣服の生産から消費に至るシステムの問題を提起しました.
15:40〜17:00
5.パネルディスカッション(講師,クリーニングに関する情報研究委員会委員,会場の皆様での討論)
[定 員] 50名
[参加費] 会員(含む協賛団体)5,000円,非会員8,000円,学生2,000円(いずれもテキスト代含む